平成２９年度も、会員の皆様のご理解とご協力のお陰をもちまして、各種事業を実施することができました。心より感謝申し上げます。

　さて、平成３０年度の青森県司法書士会の事業計画基本方針をご提示申し上げます。
柱となるのは、会員の皆様に向けては、情報の素早い伝達、研修の充実、よりスムーズな業務のための環境の改善、市民に向けては、より充実した相談会の実施、法教育の充実、調停センターの有効活用です。
　今年度は、これまでにない、大きな動きや新しい登記方式の導入等が控えており、司法書士に期待されている職責に対し、改めて意識を高める必要があります。
　まずは、資格者代理人方式の導入です。登記の真性を担保してきた「原本」を、すべてＰＤＦ化し、ＰＤＦ化したものを「原本」とするという方式です。これまで「原本」と呼んでいたものは「原資料」と呼び名を変え、「原資料」は一切法務局では見ない、という斬新な変更です。
　これについては賛否両論があり、不安な点も指摘されていますが、実際のところ、これにより司法書士がやるべきことは、これまでやってきたことに変わりはなく、まさに、その誠実な実績が認められてこその方式とも言えます。また、従来からの三つの方式は存続しますので、案件により使い分けていくなどの対応もできます。
　登記を担う専門家としては、この新しい方式においても、間違いのない登記申請を積み上げていくことがさらなる制度発展や権限の拡大につながる道であるという意見もあります。
　いずれにしても、司法書士としてより誇りと誠意を持って業務に臨むしかないと思います。
　また、相続登記未了問題解消の動きは、さらに進み、長期間名義が変わらない物件を抽出して相続を調査するという法務局の事業が予定されています。
　調査の結果、相続が発生している場合は、付記登記がされ、対象者に司法書士会が相続相談会を開催するという予定もあります。
　債権法改正、資格者代理人方式導入、さらに相続に関する法律の改正の動きもあり、ますます司法書士は研鑽を重ね、最新の知識を身につけなければ対応ができなくなってきています。
　これら大きな動きはまだ、確実に内容が定まっていないものありますが、会員の皆様に向けては、研修の充実、情報の迅速な伝達に務めます。
　外に向けては、より役に立つ相談会の実施、小学生対象の親子法律教室の初の実施と、成人年齢引き下げを考慮した高校生法律講座のより充実した実施に務めます。
　好評を頂いている女性相談会は、女性弁護士・女性税理士とコラボした相談会も企画しているところです。
　また、これまで事業計画の中に盛り込んできた、空き家問題対策ですが、３月２０日に、県内初となる、弘前市との協定が結ばれました。今後、弘前市の要請で相続相談が増加していくと思われます。これがきっかけで、各市町村とも「協定」が結ばれていく動きが出るかもしれません。　　
　ますます、会員の皆様のお力が必要となります。
　そして、「青森県司法書士会調停センター」は、初の調停事件が実施され、初日で「合意」に達したという喜ばしい実績ができました。
　同席での調停は極めて難しいと思われていますが、同席だからこそ、思い違いに気づくという場面があり、改めて、この調停センターがトラブルの解決の一つの選択肢であるという手応えがありました。　　
　会員の皆様から、これはＡＤＲできるかもしれない、と思われましたら案件をご紹介ください。

　マンパワーが充分ではない我が会です。本業を誠実に確実に行うことと、もう一つ、司法書士としての専門性を事務所の外でも存分に発揮ください。
　今年度も、皆様のご理解とご協力を一層よろしくお願い申し上げます。

第７０回定時総会の開催

　　　開催日　平成３０年５月１８日（金）

　　　会　場　ホテル青森